恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
自分の心の中のドロドロしたもの、モヤモヤしたもの。
見て見ぬフリをしているそういうもの達と向き合わなければいけない。
そんな時間だった。
慶次郎に写真を撮られれば撮られるほど、自分の内面と向き合えるようになっていた。
本当に不思議な人。
慶次郎さん、あなたのおかげで私は変われるかもしれない。
「最高の写真が撮れましたよ」
撮影を終え、にっこり笑った慶次郎。
慶次郎は、私が脱いだ着物にそっと手を伸ばし、丁寧に慣れた手つきでたたみ始めた。
着付けの部屋は二畳の畳の部屋だった。
畳の上に正座する慶次郎の姿勢の良さに目を奪われる。
「本当によく似合ってましたよ。この着物」
着物を撫でる慶次郎の手。
さっきまで自分が着ていた着物を、慶次郎が触っている。それだけで、たまらない気持ちになる。
「今日も昨日のお店であんみつ、どうです?」
お礼に夕食をごちそうしてくれると言うので、喜んでOKした。
カメラマンとお客。
その関係を超える日はくる?
もう超えてる?