恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
「僕の目を見て」
「はい」
「自信持っていいんですよ。あなたは素敵な女性だ。何を不安になってるんです?」
心まで写すカメラマンは、私の心の闇に気付いている。
「あなたはあなたで良いんです。僕にはわかる。あなたの心が綺麗だってこと」
涙が出そうになった。
心が綺麗だなんて言われたこともないし、自分でも思ったことがない。
「僕の前に現れてくれてありがとう。今日は、本当にいい写真が撮れました。真智さんのおかげです」
「そ、そうですか。それなら良かったです」
「着物姿も綺麗でしたが、今の真智さんもお綺麗ですよ」
慶次郎に褒められるとくすぐったい。
「くどいようですけど、お見合い、やめません?」
カクテルグラスを手で回しながら、視線を外す慶次郎。
「お見合い・・・・・・やめたいですけどね」
私は、好きでお見合いをしているわけではないことを説明した。
母親の付き合いで仕方がなくしているんだと。
それを聞いた慶次郎は、首を傾けて私を見つめた。
「本当ですか?」
私の心の中を見透かすように、見つめる。