恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
「初めまして」
目の前に現れた男性は、今までのお見合い至上最高のルックスだった。
お見合い写真よりももっと素敵だった。
少し心が揺れる。
この人となら結婚できるかもしれない。
慶次郎を知らない私なら、まっすぐに結婚に突き進むだろう。
「印刷会社で働いてるんですね~」
「そうなんです。僕の任されている仕事は海外向けの事業で~」
と自慢げに話す感じが少し苦手だと思った。
母は挨拶だけして席を外し、私はその人とふたりで適当に話を進めていた。
今だけ。
この時間だけのことだ。
もう二度と会うことはないだろう。
素敵だけど。
結婚相手として最高かもしれないけど。
私には、好きな人ができてしまった。