恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
「真智さん、この後時間あれば夕食でもいかがです?」
「あ、ちょっと用事があるんですけど」
「そうなんですか?では、近いうちにお酒でも飲みに行きませんか?もっとあなたとゆっくりお話がしたい」
この人、私のこと気に入ってる?
深入りせずにこのまま別れるべきなのか。
それとも、現実的なこの人ともう少し関係を深めるべきなのか。
慶次郎と結婚なんてできないじゃん。
冷静にそう脳内で誰かが囁くんだ。
この後、少しだけ散歩でもしようということになってしまった。
断り切れなかった。
「ごちそうさまです」
お勘定をしている彼の横でペコリと頭を下げた。
その時、一瞬声が聞こえた気がした。
愛しのあの人の。
まさかね。
と思って、お見合い相手の人と並んで歩き出す。