恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
「そうだったんですね。そういう過去があったから、真智さんはお母さんのことを安心させたかった。お母さんが不安にならない相手と結婚して、お母さんを楽にしてあげたかったんですね。本当に、優しすぎる人ですよ」
褒められることになれていない。
こういうときの返事がうまく出てこない。
曖昧に笑って、首をかしげる。
「ふふ。褒めるといつも困った顔をする。そんな真智さんが僕はとてもかわいいと思う」
「ありがとうございます」
私は手を伸ばして、慶次郎の唇の端についたスコーンのかけらを取った。
「かわいいですね、慶次郎さん」
「へへ。真智さんの方がかわいいですよ」
と、高校生カップルのようなラブラブな会話をしちゃったりして。
恋をすると年齢なんて関係なく、乙女になれる。
映画のヒロインになった気分。