恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
今にも泣き出しそうな表情の母が玄関に座っていた。
「真智、あなた何てことをしてくれたの?」
こんな母を見るのは初めてだった。
私はすぐに何のことだか、わかった。
大北さんとのお見合いのことだろう。
もう知ってしまったのか。
私から真実を話したかった。
「大北さんは、契約を全部解約すると言い出したのよ。お願いだから、もう一度だけ会って、話してみてくれない?」
母は、大粒の涙を流した。
母の涙は見たくない。
母を幸せにしたい、と願っている私にとって、これほど辛いことはない。
「お母さん、ごめん」
「真智・・・・・・」
泣かないで。
仕事が大事なのは、わかる。
でも、娘だよ?
私は、あなたの娘なんだよ。