恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
「大北さんの親戚や知り合いの人もたくさん契約してくれているの。このままじゃ、全部解約されてしまう」
そんなひどい人なら最初から紹介しなければいい。
最低の男。
母の涙が止まり、私は冷静になった。
「お母さんの見る目がなかったんでしょ?あの人、最低だよ」
慶次郎への態度を思い出し、私はまた大北さんへの怒りが込み上げる。
「何を言ってるの?あの人は、会社でも優秀で、みんなから信頼されている人なのよ。それに、隠してもだめよ。全部聞いたから」
大北さんは、慶次郎のことを母に話していた。
それも、かなりの脚色を加えて。
「あなた、変な男の人と付き合ってるの?大北さんに聞いたわよ。責任感のないいい加減な男だと言っていたわよ。あなた、騙されているんじゃないの?」
怒りを通り越して、悲しくなってきた。