恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~





「お母さん、私の話も聞いて」





消えそうな私の声は、母の心に届かなかった。




母の表情は厳しいままだった。





呆れたような、失望したような、その顔を見ていると胸が痛くてたまらない。






「真智、とりあえず、もう一度会ってちょうだい。大北さんに謝って。話はそれから聞くから」





「お母さん・・・・・・本気で言ってるの?」







また、大きな瞳に涙をためた母。




その顔を見ていると、それ以上言えなかった。






私は、やっぱり母のために生きているのだろうか。




私の人生は私のもの。



そう思っているのに、母の敷いたレールの上しか歩けないのかもしれない。








< 93 / 331 >

この作品をシェア

pagetop