恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
きっと、慶次郎は大北さんよりも仕事ができたんだと思う。
慶次郎のことが気になって仕方がないんだ。
負けたくないんだ。
ただそれだけ。
私のことを気に入っているわけじゃない。
慶次郎に取られたくないだけだ。
かわいそうな人。
慶次郎のものだと思うから、意地になっている。
母の保険を解約するなんてひどいことを言い出したのも、きっとそうだ。
どうしても、慶次郎から奪いたいんだよ。
ただそれだけ。
「野嶋は彼氏なのか?」
「友人です」
静かにそう答えた後に、大北さんを見た。
「そんなわけないでしょう」
嫌味な顔で私の顔を覗き込むようにして見ていた。
ハンサムだと思っていた顔だけど、今はとても嫌いな顔だ。