恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
「真智さんのお母さんにはお世話になっているからね。解約なんてしたくないんだけど。野嶋とはいろいろあったから」
遠い目をして、頷きながら話す様子に嫌悪感を感じる。
って、野嶋野嶋って。
本来なら、保険の解約と関係ないじゃん。
本当に嫌な人。
「今日、夜まで一緒にいてくれないか?」
テーブルの上に置いていた右手を握られた。
引っぱたいてやろうかと思うくらい気持ち悪かったけど、母の泣き顔が浮かび、私は我慢した。
お母さんが好きだ。
だけど、お母さんに縛られている。
お母さんを幸せにするのは、私じゃない。
お母さん自身なのに。
どうして、私はこんな風になってしまったんだろう。