声が聴きたい
小学3年・春~追い撃ち~
優一side
和希は小2の夏から3年に上がるまで毎月、心療内科に通い、心に受けた傷を治療してきた。
それに比例するように耳の聞こえの悪さはだんだんと、気にならなくなったみたいだった。
落ちていた食欲も8割位まで戻り、以前の和希に徐々に戻っていった。
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3年になり、しばらくした春の日の放課後。
俺は秀とマンガを買いに行って、和希は母さんと普通に自宅にいた、そんな夕方。
電話を和希が取ったらしい。
しばらくは「はい?えっ?」といった疑問系の返事ばかりをしていたようだが急に静かになった。
そのまま、母さんも電話のことを忘れてしまったらしい。
その日の夜になりなんだか和希がソワソワしているので「どうした?」と聞くが「なんでもない」と答えるだけ。
ただ、なんとなく、いつもと違う気がしたけど、小3の俺にはよく分からず、そのモヤモヤをそのままにして、そのうちにすっかり忘れてしまった。
和希はその夜は早めに寝てしまったみたいだったが、明日が休みだったので、俺は遅くまでマンガを読んでた。