声が聴きたい


俺は余りの衝撃に声も出せず、そんな俺を母さんは泣きそうな顔で頭をポンポンとして、部屋を出ていった。


5分か10分か……暫くして我に還った俺は、急いで1階へ。


既に玄関に向かっていた母さんに「秀は知ってるか」と聞いた。


「えぇ……さっき、松田さんのところには連絡をいれたの、和希の主治医でもあるしね、だから……秀くんも聞いたと思うわ……こっちに来るかもね、じゃあ、行ってきます……」母さんは急ぎ出掛けていった。


リビングに入ると、じいさんがテレビを観てた。


「じいちゃん、電話かけるね」と声をかけてから秀の家の番号を押す。


「あ、優一です、はい、……うん、わかった、じゃあ後で。」


秀は朝御飯を食べたらこちらに来ると言って電話を切った。


30分ほどして秀が来た。


鳴らない電話を無駄に睨み付けてみたり、うろうろしてみたり。


どうしても、落ち着かなかった。


正午ちょうどくらいに母さんから電話がかかってきた。


「和希は無事、これから帰る、松田さんのところに先に行く」と聞かされた。




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