声が聴きたい
看護師は昔からの、親父と同年代の清水さんと、30代の小椋さん、20代の南さん。
受付は専門に30代の菅原さんと近藤さん。
たまに、入れ替わるが、基本、家で働いてくれてる人は長く勤めてくれてる。
30代の3人は、俺が小学生低学年位からずっといるし、清水さんはもちろん生まれる前から。
だから、南さんはまぁあれだけど、俺はみんなに頭が上がらない。
イタズラ好きな俺と親友の優一は、しょっちゅういろんなことをして、毎回ばれて誰かしらに叱られる。
親父やおふくろよりも確実に、俺の性格も悪行も知ってると思う。
でも、愛のある叱り方だったと今では思う。
その頃は悔しくて、でもうまく言い返せなくて、親父の邪魔だから叱られてるんだ、とひねくれたりしてた。
あれは四年生のときだったか、小学校からの帰り道に生け垣の立派な家があって、そこを猫が出入りしてるのが分かった。
俺と優は猫を捕まえようとして、生け垣の隅っこを掘ってみたり、逆に隙間を石で埋めてみたり……。
数日間、見張ってた。