声が聴きたい
それでも、勉強は教えあい、和希が頑張るからか、俺ら3人の学力は競うように上がった。
中学を考え始めた時に母さんが「和は私立を受けたいか?」と聞いた。
それを言われた和希は、「私が、楽だと、思ってくれてる……でも、みんなに、迷惑、でも……優と、公立、行きたい、…………ダ、メかな?」と、母さんの目をしっかりと見つめて言った。
「和っ!俺は、迷惑なんて思わない、嬉しいよ。また、一緒に行こう?」と、母さんの返事の前に俺は勢い込んで伝えた。
すると、安心したようにニコリと笑った。
支援学級から地域の公立中学に進学することは、聴力が右はほぼ回復し、左もささやき以外は聴こえるまでになったことを受けて、両方の学校間で話し合われ、問題ないと承諾された。
ただ、入学したら始まる新しい人間関係について、俺たち家族の事をどうわかってもらうと、和希の負担が少ないか、両親と和希、時には俺も入って話し合った。
そうしながら、過ごして桜がまだ三分咲きの3月中旬、俺達は小学校をそれぞれ卒業した。
卒業式の日は違っていて、両親は祖父と共に両方の式に、揃って来てくれた。