声が聴きたい
だけど、なかなか捕まえられなくて、何かの拍子に積み上げていた石を生け垣の隙間から庭に向かってほうり投げた。
段々楽しくなって隙間から腕だけ入れて、ポンポンやみくもに投げていて、庭の中なんて見てなかったから、小さな男の子がトコトコ歩いていたのも、気がつかなかったし、庭の花壇にボトボト石が入り込んでるのもわからなかった。
10個以上あった拳大の石もこれで最後ってとき、いきなり『うわぁ~あぁ~いたいよぉ~』と泣き叫ぶ声が中から聞こえた。
俺と優は顔を見合せ腕を入れていた隙間から中を覗きこんでみた。
すると、小さな男の子が花壇の側でぺたんと座り込み、泣きながら左手を体の前に守るように抱えこんでいた。
そしてその子の周りには石……。
『やばいッ!』と感じ優と顔を見合せた俺は、逃げ出したいのに体が震えて動けなかった。
その家の中から泣く男の子に向かって「真ちゃんッ?どうしたの?!」と叫びながら誰かが出てきた。
俺も優もそこに尻餅を付きながら、様子をただ見つめてた。