声が聴きたい


「りょ~~かい。俺も、そこに行くから」


「はぁ?」今度は呆れた感じ。


「まっ、そうゆうことだから宜しくな」


そこまでいって俺は一方的に通話を切ってしまった。


そうと決めたら親にも話さなきゃ。


金がかかるしな。

**********

その夜、家族での夕食後の団らん中。


たいていは、夕食が終わるとそのまま、リビングでお茶やコーヒー、デザートをもらって、その日のことや今後の予定を話す。


その、和やかなとき。


「父さん、母さん、俺さ、秀と一緒の東都大学の医学部行くから」


シーン………………


三人の手が止まり、時間さえも止まった気がするくらいの空気。


「……本気、か?」「すごいッ!」


ほぼ同時に聞こえた父親と和希の声。


三人の顔を真剣に見渡しながら「本気、です。だから、金……かかるけど、行かして下さい……塾とかは行かないで済むように、本腰入れるから。」











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