声が聴きたい

それからどうやって家に帰ったのか、正直あまり覚えてない。


ただ、庭に出てきた男の子のお母さんらしき人が『まぁっ!大変!あ、ま、松田せんせのとこっ……』といいながら男の子を抱きかかえていたのをぼんやりと見ていた気がする。


いつの間にか暗くなった玄関で座り込んでいたら、清水さんが来て腕を引っ張りあげ診察室に放り込まれた。


そこには先程の親子と親父が居て……


「ホラッ!!秀っ、あんたの今するべきことはなに?」と清水さんに言われる。


親父はジッと俺を見てた、感情の読めない顔で。


「あ、えっ……あ……」目をキョドらせながらアワアワする俺。


『ガラッ』とドアがあき、いつの間にか小椋さんに連れられた優が入ってきた。


「ほらっ!悪ガキ二人っ!しゃんと自分のしでかしたことと向き合いなさいッ!」バシンッと背中を叩かれる……


チラッと互いを見やり、小さく頷く。


そして、震えそうになる声をどうにか出しながら親子に向かい頭を下げながら「「ごめんなさいっ……」」と何度も言う。






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