声が聴きたい
その、嬉しそうな顔を見てまずはホッとした。
しばらく、読書の話とかして、ちょっと、沈黙が訪れた……今、か?
「なぁ……和?」
体を少し和希の方に向けて、和希の目を見つめる。
「な、に……?」真剣な俺に気がついたのか、緊張した顔になる和希。
「俺……和が好きだ……大好きなんだ……だから、彼女になってくださいっ」
和希の膝の上にあった手をつかみながら、一気に言って頭を下げる。
今、和希がどんな顔をしてるか、怖くて見れない。
どのくらいまったのかな、実際には1分もないと思うけど、ようやく、和希が話し出した。
「秀くん……ありがと。えっと、わ、私、も、す、好き……です……」消え入りそうな声だけど確かに聞こえた『好き』の言葉に俺は目を見張って和希を見る。
「マジ、で……言ってる、よな?」
「うん……」
真っ赤になりながら俯く和希をみて、思わず抱き締めてしまった。
「和……俺は、絶対に和をおいてどこかに行ったりしない。離れない、約束する。必ず守る。」そう言うと、それまで下がっていた和希の腕が、そろりと上がって遠慮がちに俺の背中に回る。