声が聴きたい
和希は、泣いていた。
俺も、嬉し泣きしそうになったけど、我慢。
公園のベンチ、誰が通るか分からないようなところで抱き合ってることに、和希が気がついて恥ずかしがるまで、しばらくそのままだった。
我にかえった和希は、少し体をひいて、赤く潤んだ目をこちらに向けてくる。
ドクドクと、心臓が速くなる……「和……好きだよ」特に何を考えてたわけではないけど、自然と右手を和希の頬に添えて、ゆっくりと顔を近づけて……ほんの触れるだけのキスを、二人のファーストキスをした……
のけ反る勢いで俺から離れる和希に笑いが出て仕方ない。
「ここ、公園だし、これ以上はしないよ」と、覗き込みながら言えば、顔をそらしながらも、頷く。
愛しい……
ようやく、彼女になった和希のことが好きすぎてどうしようもない。
それからピッタリと寄り添い座りながら、いろんな話をした。
夢のこと、思い出話、進学について、優のこと、和希の耳のこと……
そして、約束を作った。
『疑問、不満、希望はどんなことでも相手に伝える』
気がつくと周りも暗くなり、慌てて、でも、手はちゃんと繋いで和希の家に急いだ。
これ以上ないくらいの幸せな気持ちと共に。