声が聴きたい
「お前の父さんもなんだ、だから、親子3代……なんだか嬉しいじゃないか」と笑みをみせて話すじいちゃん。
レベルも、通学の弁も全く問題がなかった俺達3人は早々に志望校を決めた。
決めてからしばらくして、和希の友達の安藤が昼休みに俺らのクラスに来た。
二人は親友になってるらしく、クラスが離れても何かと一緒に行動してる。
「佐藤くん、ちょっといいかな?」
呼ばれて廊下に出てみれば、笑いのない顔に『まさか、告白かぁ?』なんて思いながら聞く体制をとると……
パンッ!と顔の前で拝むように手を合わせて「佐藤くんっ!一生のお願いですっ!勉強教えて~」と情けない声。
「はぁ?」
じろじろと見られてるのが気になり「ちょっ、あっち……」腕を軽く引きながら階段の陰を示す。
「あっ……ごめ……」ようやく目立ってたのが分かったのか、腕を下げて大人しく移動する。
「で、なんで?」
「うんっとね、和、風見が丘なんでしょ?」
「聞いたの?」
「うん……あたし、今のままじゃ無理だって、担任に言われて。」