声が聴きたい
どんな理屈だ……だけどまぁ、安藤が同じ高校なら、男の俺らでは対処できないとこも、事情をしってるから任せやすい。
「ま、着いてこれたら、合格もありじゃない?」あんまり、調子に乗らないようにわざと、さめた言葉を口にした。
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じいちゃんは善くなることはなく、秋から冬になっても、退院は無理で、父さんも少し疲れた様子だった。
でも、本人は至って明るく、病室では時間を惜しむように、昔の話や、学校のはなし、テレビの話に、ニュース、何でも話した。
12月のある日、和希は秀と行くと「ウェディングドレス姿を見たかったなぁ」と言われて、思わずポロッと涙をこぼしてしまったらしい。
家に帰ってから、号泣する和希に、母さんがある提案をした。
「あなたたち二人がどれほどの想いで、お付き合いをしてるかはわからない、和、あなたにも、まだ、未来は見えてはいないと思う。けどね?先ではなくて、今、離れることなんて想像もつかないほどに引かれあってるというんなら、2月のお祖父さんの誕生日に、一時帰宅してもらって、婚約式っての、どうかしら?」と。