声が聴きたい
そして「紹介状を書きますから医大病院へ」と言われまた、翌日病院へ。
正直、面倒だった。
でも、今は行ってよかったと思ってる。
分かったのは『乳ガンのステージⅡとⅢの境』で状況的に手術を、と言われた。
両方ではなく、右だけ……女でなくなるような気がして怖くなった。
私は、『女でいること』が大切なのに。
今までの貯えは余りなくて、店から少し借りて3ヶ月ほど休んで手術などの治療を受けた。
治ったはず……だが、つい先日の定期検査で今度は左に転移が見つかった。
正直、もう、懲り懲りだった。
病院に行くのも、治療を受けるのも。
でも、偶然見かけた私に似てるあのコ……
約7年たっても、何故か見分けられて……
幸せそうに笑うあのコが、憎たらしくて……
私は死を意識しながら苦労してるのに、幸せを感じてるなんて許せない……
その笑顔を消してやるわ。
病気だって何だって利用してやる。
そう決めたのが偶然にも憎いコを産んだ日だった。