声が聴きたい


それから、実家の事を調べて、去年もらい損ねた遺産を貰うために電話した。


あのコが養子になってるのは分かってたから、電話の声を聞いてすぐわかった。


そうしたら、考えるより先に口が動いた。


「あら、そこで生きてたの?」


「あんたじゃ、無理よねぇ、お金、貰いたいのよ」と……


でも、一言も返してこないあのコにイライラしてた。


そのうちに『カチャッ、ツゥーッ、ツゥーッ……』と電話の切れた音。


それから、さらにイライラした。


夜に、兄さんから電話があった。


『遺産なんてないし、あったとしてもお前にはいくものは何もない。和希をこれ以上傷つけないでくれ。何かあるなら弁護士を通してくれ』と言われて、弁護士の連絡先をペラペラと言ったと思ったら切られてしまった。


なんなのっ!


私はお金が要るのに‼


私の話を聞きもしないで終わりにしようとして。


……私に冷たくしたこと、後悔させてあげるわ……



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