声が聴きたい
夕飯まで世話になって待ってると母親が迎えに来る、今では勝手に帰るけど。
それでも、行事で必要な日の弁当は母親が作ってくれたし、参観日とかは必ずカフェを抜けて来てくれた。
だから、放っておかれた……とは感じてない。
放課後も全く夜まで自宅に寄り付かない訳ではなく、優と、俺の部屋で遊ぶことだってあり、そんなときは菅原さん達がおやつをくれたり、何にも話さないけど、親父が覗きにきたり、気にされて愛されてたと思ってる。
土日は母親はカフェを副店長に任せて家事に専念する。
大量の買い物に掃除、洗濯。
疲れないのかな、と思ったこともあったけど、いつも楽しそうに鼻歌を歌ってて、いつの間にか済ませて、書斎で仕事してる親父に散歩に行こうっなんて言ったりしてた。
小学生の時の土日は俺も料理や掃除を手伝ったお蔭で家庭科は得意。
その手伝いで小遣い稼ぎもしてたから一石二鳥。
親父には、医者になれとは言われないし跡継ぎも別に、誰かに譲ったっていいんだ……位に言われてた。
でも、俺は必ず医者になる……。