声が聴きたい


今日はまだ、さすがに1年生は見当たらないが、席は8割以上埋まってた。


窓からは少し離れているが、隅の方に四人掛けのテーブルの空きを見つけてようやく落ち着いた。


「はい、どうぞ。」細く白い指で持たれた男子用の弁当箱を差し出されて「サンキュー」と正面で俺が受けとる。


和希の左隣に座った秀にも体を向けながら「はい」と差し出す。


体を右側にかなり向けて座っている秀は左肘を付きながら「いつもありがとな」と受け取った。


ニッコリしながら「私が、作りたくて、してるから、ね」と優しく話す和希、それを聞いて頭を撫でる秀。


それを気にせず「さぁ、食おうぜぇ、腹減ったし……頭使うと消費激しいよ」と弁当をさっさと食べ始める。


「「いただきます」」目を見合いながら言う二人、やっと食べ始めた。


今日の弁当は、昨夜の唐揚げ、ポテサラ、チーズ入り玉子焼き、イチゴ。


自分の2倍以上はある弁当があっと言う間に空になっていくのを、ゆっくりと食べながら嬉しそうに見てる和希。






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