声が聴きたい
「あんた一年生か?随分な態度だな……テーブルの間の歩き方だって、人にぶつかった時の態度だって、いったい何様のつもりだ?」秀が素早く和希をクルリと反転させ自分の腕に抱き締めると低く、怒りを込めた声で、睨み付けながら話す。
このテーブルの回りだけマイナス気温になったかと思うくらいに、空気が凍りついた。
言われたバカな1年女子は、そこでようやく状況が解ってきたのか、慌てて、顔色も悪くした。
直ぐ近くの席に居た3年の先輩が飛んできた袋を取ろうとしてくれた、が……
「あっ、先輩、いいですよ、先輩にそんなんさせられません、ありがとうございます。」と秀が止める。
「あ、でも、手ぇ届くし……」とさらに言ってくれる、が……
「いや、このバカに拾わせなきゃ意味無いんで、ほんと、大丈夫っす、すみません。」と言ってから、キッ!と1年女子を睨み付けながら「おら、お前が拾わなきゃダメだろうが、サッサとしろよっ」と言い放つ。
その時、その生徒の仲間が「あれが松田さんじゃねぇ?」と言ってるのが聞こえた。