声が聴きたい
俺はそのまま弁当の袋を持って、秀は和希の肩を抱きながら歩き出した。
ラウンジを抜ける間、「あいつらバカだなぁ、松田を怒らせたよ」「松田先輩って佐藤先輩のことめちゃ大事にしてる」「あの1年生、初日から松田に睨まれるとか、ついてねぇな」など好き好きに言ってるのが聞こえた。
ようやく、秀の腕から逃れて、肩抱きだけになった和希はキョロキョロと回りをみている、声は聞こえていただろうが、どうなったのか確認してるみたいだっだ。
だけど1年生のグループはぶつかった子を引っ張り、既に場所を移していた。
「秀……守ってくれて、ありがと……」と和希。
やっと俺らはラウンジを出ていて教室に向かってた。
「和、今日の放課後優の、買いにいかないとだな」とすっかり普段の調子をもどした秀。
和希は「あの子、手、痛いの、治ったかな……優……どんなのが、いい?一緒に、行かれそう?」と、最初のはほんとに小さな独り言で、続けて優しく俺に聞いてきた。
さっきのことは秀と俺が解決したから、それで自分中の気持ちもおさめたらしい。