声が聴きたい
日常のデート
side秀
学校前からバスに乗ると生徒で一杯だったから和希を支えるため左腕で抱き寄せて、つり革につかまる。
知ってる生徒も居たけど、話さなきゃいけないって用事もなかったからそのまま和希と二人ひっついてた。
「和、このテストって成績貼り出しだっけ?」耳元で聞くと少しだけゾクゾクするのか、頬が赤くなり体を僅かに振るわせながら「ん……確か、そう……気になる?」と返事してくる。
それがまた可愛らしくて「キス……したくなった?」と耳に唇を触れさせながら聞くと……「……んっ……な、い」思わず声が甘くなり更に体をピクリとさせる。
満員の状態だったが、俺は二人きりの世界を10分楽しんだ。
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顔を赤くしたままの和希の手を握り、『駅前通り』でバスを降りた。
和希が好きな雑貨屋は、駅前通りに広がるショッピングタウンのビルの1つにある。
そのビル全体が雑貨を扱ういろんな店を集めているから楽しいらしい。
「ほら、早く行こう」といえば素直に「うん」と笑顔で返してきた。