声が聴きたい
今は、姉貴の右側が道路だから、姉貴の右手と秀の左手は繋がれてる。
俺に今、彼女は居ない。
いや、今だけじゃなくて、過去も。
モテないんじゃない、むしろ、告白とか月1であるし……
でも、この二人を見てたら、自分の気持ちがないのに付き合うのはなんか違う気がして、さ。
気長に、『好きだっ』ってヤツと巡り会えるのを待ってるところ。
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「姉貴、クラスどうだろうな?」和希の左耳にしっかりと届くように話す。
「うん、心配……」瞳を揺らし、不安げにしながら、少しだけ小さい声で返事をしてくる。
「大丈夫だ、クラスが離れても、俺と和は大丈夫だ、な?」顔を覗き込むようにしながら、話す秀に、首を縦に振り頷く姉貴。
秀の左手が姉貴の頭を抱き寄せたのを視界がとらえてチラッと横目で見ると、ちょうど『チュッ』とおでこにキスするのが見えた。
この二人は学校でバカップルとして、一番有名だと思われる。
それくらい、チュッチュ、聞こえてくるんだ。