声が聴きたい
高校生らしい二人組の女性客にしつこく声をかけられていた。
店に行った俺と和希の前で、会計をするため立ち上がったその客が秀の腕に抱きつき、「はい、ケー番、遊びたくなったら連絡して?」と自信たっぷりに言ってる。
メチャクチャ嫌な顔をしていても、客相手に怒鳴るわけにもいかず「ありがとうございました、また、お越しください……」と言う秀。
まだ、この春から高校生って男に巧くあしらえってほうが悪い。
でも、客であると解っていても、秀にその気が全くないと解っていても……イヤなものはイヤなんだろう。
和希は店に迷惑がかかるのを恐れ、目に涙を溜めたまま、クルっと店を出ていってしまった。
それからは絶対に店表には出ないし、好意を寄せてくる女性に対してかなり冷酷な態度を取るようになり、学校で『あの松田』なんて言われるくらいになった。
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その、バイトが始まり、帰りは俺と和希の二人になる。
この、二人の時間は俺にとってはリサーチタイムだ。
家族、俺、秀、最低でも3つ、和希の欲しいものを探らなくてはならないから。