声が聴きたい


「和、大丈夫だ。同じ階にいるんだ、4組には確認したら安藤さん、1年もおんなじクラスで中学からの友達だったろ、名前あったぞ?」右耳の近くに顔を埋めながら、それでも、ボソボソではなく、一音一音ハッキリと話す秀。


微かに肯定の意味で頭を動かす和希。


「登下校は今まで通りだし、昼も今までと同じ、少しでも間がある時には顔、見せてくれ?俺も会いたいから会いに行く……」


また、頷く和希。


どれくらい、そうしていただろうか、2、3分だと思うけど、姉貴が秀の腕のなかでもぞりと動いて顔を上げた。


泣いてはいない。


「ありがと……」といって、めちゃくちゃ可愛い笑顔を俺らに向ける。


「ん、それでいい。笑顔でいたら周りの人も笑顔になる、でも無理や我慢はだめだからな?分かってるな?」優しい笑顔で言葉を伝える秀。


ちょうど、マイクを持った生活指導の教師がステージに上がった。


「よし、じゃあ、クラスに行くかぁ!」元気よく俺が言うとコクリとした姉貴と秀が手を繋ぎ前に向かった。




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