声が聴きたい


夏の夜空を楽しんで外にでれば、まだ、暑く明るい街。


ゲームセンターに行き記念日プリクラを撮って、あとは涼みながら街中をブラブラする。


7時に予約してあったから、そろそろだと、店に向かう途中で「すみませんっ!」と声がかかった。


「あっ、すみません、ありがとうございます」思わず立ち止まってしまった俺達にお礼を言いながら名刺を差し出す女性。


『またか』と内心で思う。


実はこういった声かけは二人で歩いてるとき何度か経験してる。


たいていは雑誌のスナップ撮り依頼だ。


で、必ず断る、強い意思を持って俺が。


可愛い和希が世間にさらされるなんて断固阻止しないといけない。


今回は……「来月創刊する女性向け月刊誌の編集部のものなんですがぁ……」やっぱり。


「俺らはそうゆうの、嫌いなんで。」それだけ言うと、無言を通した和希の腰を支えながら歩き出す。


すれ違いざまに「お高くとまっちゃって、いやぁね」とつぶやく声が聞こえて言い返してやりたかったが、腰に回した手を上からとんとんとする和希に気がつき、そのまま無視して先に進んだ。



< 63 / 163 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop