声が聴きたい
夏~過去へ
和希の誕生日は、和希は案の定帰りが遅かった。
普段、時間や約束をキチンと守る秀たちだから、この日は許されたんだと思う。
それに翌朝の、なんとも幸せそうな蕩けそうな笑顔の和希を見たら、俺も母さんも、父さんまでも、何にも言えなくなってしまったんだ。
こんなにも幸せを感じている和希を、俺たちはなんとも言えない安らいだ気持ちで見守った。
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梅雨の鬱陶しさで気分も下がりがちだが、俺らの周りは楽しく賑やかだった。
幸せオーラに包まれた秀と和希、更には付き合いたての熱々なやつもいて、そっちのほうがうっとうしいくらいだ。
この学校は公立だけど、比較的自由があって、持ち物や制服に細かい校則がない。
そのかわり、自己管理、自己責任を重んじていて、トラブルがあった場合も個々のケースで罰や対応が違う。
例えば、和希は誕生日以降、秀から貰ったリングをはめて登校しているが、和希が自慢したり見せびらかすなどの行為をしないため、学校側も何も言わない。