声が聴きたい
これが、紛失するなどのトラブルがあった場合は、まず、持ってきた和希が処罰を受ける。
隙を見て盗まれたのだとしても。
持ち込まなければ起きなかったトラブルだからだ。
犯人がわかった場合でも、一番厳しく罰せられるのは和希に変わりない。
そのくらい、自己管理・自己責任に重きをおいている。
だから、和希もそれを承知で、気をつけている。
チェーンも用意して、体育や家庭科などの時は首から下げている。
していった最初の1週間位はチラチラと和希の左手を見るやつがたくさんいたが、最近はほとんどいない。
少し注目を浴びはしたが、普段とかわりなく過ごしていた。
ある6月の日、蒸し暑く、学校から帰るとまずは俺はシャワーを浴びる。
和希は、部屋で着替えてくるだけみたいで、たいていは、俺よりも先にリビングにいる。
その日、母さんが秀の母親の店に夕方まで手伝いで、四時頃に帰宅した俺ら二人だけだった。
「あちぃ~、和、俺シャワーすっから」
「はぁい、私も、着替える」
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20分後、頭をタオルで拭きながらキッチン側から入り、冷蔵庫を開ける。