声が聴きたい
「あれっ?和?……」キッチンから和が居るはずのリビングを見るが静かで誰も居ない……?
開けていた冷蔵庫をいったん閉めて、リビングにしっかりと体と目を向けると……
「和っ!どうしたっ?」
俺は叫びながら、リビングのサイドボードの下に寄り掛かるようにうずくまる和に駆け寄る。
左掌で左耳を塞ぎながら、右手は口元にやり、静かに涙をポロポロと流す和希。
すぐ傍には受話機がコロンと転がって、『ツーッツーッツーッ……』と微かな音をたてていた。
とりあえず、電話を手に持ち、ソファーに和希を座らせる。
体が震えていて止まらない。
俺は、スマホを部屋に置いてきてしまったことに気がつき、仕方なく、先程の電話で、秀に電話する。
「なんだよ、優、シャワーしてからそっちに……」「すぐ来いっ!和がヤバイっ!」秀の言うのを終いまで聞かずに叫ぶ。
「っ!!すぐいくっ……」次の瞬間にはまた、『ツーッツーッ』と無機質な音が聞こえていた。
和希は俺に背中をさすられながら、ソファーの上で静かにしている。