声が聴きたい
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それから、俺は直ぐに両親に連絡し、履歴に残ってた番号は消してしまわないうちにメモした。
秀はゆっくりと口元を見せながら、筆談も混ぜて話を聞いていた。
30分後、帰宅した母さんが熱を測ると微熱があったらしく、和希をベッドに入らせそのまま、寝るまで降りてなかった。
7時過ぎ、家に秀の家族も集まり、今日のことが話された。
「電話に普通に出たら『あら、そこで生きてたの?』っていきなり言われたらしい……、で『あんたじゃ、無理よねぇ、お金、貰いたいのよ』って続けてきたらしくて、そのあともなんか言われたらしいんだけど、受話機当ててた左耳がガンガンしだして、聞き取れなかったって。で、右耳に当て直してみたけど何にも聞こえないから切れたと思って切った、あとは体の力が抜けちゃって、今までの事が頭んなかグルグルしながら、しゃがみこんでたってことらしい」
時間にすればほんの数分間の出来事、俺は自分の行動を後悔した。
「優一、お前がそんな情けない顔をしてはダメだろう。電話がくる、それに優一がでなくちゃならなかった、なんてことは想像すら出来ないことだ。だから、悔やむな。」