声が聴きたい
あんな手紙を読んで素直で優しい和希はきっとメチャメチャ傷ついてるはず、そしてきっと『自分がお母さんを苦しめたから捨てられた』と思ってる。
俺の両親は素早く行動した。
信吾叔父が一時帰国をした際に、家庭裁判所でじいさんも入れて話し合いをし、親権があるのに放棄した叔母に変わり叔父さんが、親権を一時的にもった上で、和希を家の養子にする手続きをした。
こうして、和希は俺の姉さんになった。
2週間入院し、退院してきた和希を改装を急いで済ませた新しい部屋で迎えた。
マンションは叔父立ち会いのもと、引き払い、和希に不利益になることの無いようにしたみたいだった。
すでに、二学期が始まっていたが、難聴がまだ治らないのもあり、9月の半ばまで和希は学校を休んだ。
小学2年の勉強だからそんなに大変ではないし、和希は嫌がらずに自宅学習で学校の先生に言われた課題をやっていた。
急に家族になった俺たちだけど、俺は嬉しくて仕方なかったし、母さんたちも違和感がないほど、元からだったんじゃないかと勘違いするほどしっくりしていた。
だけど、和希は緊張やストレスがとれないのか、聞こえがすぐ良くなることはなかった。