声が聴きたい

希美花の都合


他称side

希美花は、佐藤家の長女として何不自由なく成長し、とても美しかった。


優一の祖母はモデルをしていた人で、化粧品メーカーに長く起用された経歴をもっていて、その美しさを希美花も和希も受け継いでいた。


希美花は子供の頃からチヤホヤされてきた。


兄である優介は4歳上で、兄の友人からも可愛いともてはやされ、高校生になる頃にはすっかり我が通るのが当たり前と思う我が儘な女性になってしまった。


兄はそれでも、家族にはあまりあれこれ言わないし、本人だって世の中がそんなに甘くないと解っているだろう、と、黙認してしまった。


大学生になり数人の男性と積極的に付き合うようになったが、いつも、どこかしら『羨ましい』と他人に思わせる相手だった。


容姿であったり、家柄だったり……


そして、希美花も、周りの人に紹介するときにはまず最初にそこを話す。


「こちら、あたしの彼。実家があの・・・商事でね、次期社長になる人なの、すごいでしょう?」といった感じだ。








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