声が聴きたい
大学4年の時に信吾と出逢う。
信吾は九州の貿易会社の息子で、こちらの関連会社に就職し、いずれは実家に戻ることが決まっていた。
希美花の周りのものたちは、付き合っても、九州へ戻る信吾とは、軽いものだと思っていた。
信吾は希美花の2歳上で、社会人2年目、今はとにかくいろんな物事を吸収ししっかりと仕事の基礎を造る時期。
真面目な性格からか、がむしゃらに頑張り、疲れて参加させられた女子大生との合コン。
ただ、夕飯がわりに飲み食い出来たらと気乗りしないまま顔をだし、思考の浅い状態で、美しい希美花に惹かれてしまった。
希美花も、次期社長で、顔も整っていて悪くないし、女にだらしない感じもない信吾を条件で好ましく思った。
違う思いではあったが、惹かれあいすぐ付き合い出した。
信吾はやはり忙しく、あまり希美花を構えないことを申し訳なく思って、会える日にはとにかく甘やかした。
希美花にとって、それこそが望んでる、当たり前の待遇だった。
デートに出たら希美花から言わなくても先ずはデパートの売り場巡りから。