声が聴きたい


「和、帰ろう。」と秀が和希の左に立って言う。


「うん、ありがと。」和希が秀を見上げながら答える。


そこに朝から和希を気遣ってくれた女子二人がくる。


「和、じゃぁ、あたしら帰るよ?また、明日からよろしくね!」と大きめの声で言ってくれた。


「うん、加奈子ちゃん、凛ちゃん、きょう、はありがと。明日からも、よろしく、です。」ニッコリ笑顔で頭を下げる和希。


「じゃあねぇ~」と手を振りながら、俺らに軽く目礼して教室を出る安藤さんら。


「よかったな。」見ていた秀がそう言えば「うんっ!」さらに満面の笑みの和希。


どうにか、初日が終わった。

**********

散ってしまった桜の花びらを踏みしめながら家まで3人で歩く。


「昼飯、母さん何て言ってたっけ?」和希の顔を見ながら聞くと「食べてきて」との返事。


「秀ん家は?」


「当然だろ?」


そこから俺らは学校と自宅の途中にある、ハンバーガーショップへと進路を変えた。


そんなで俺らの、高2生活がスタートした。



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