声が聴きたい
それからは、頻繁に和希を実家や一時保育に預け、自分の為に時間やお金を使うようになり、見た目も行動も派手になっていった。
そして、信吾の関西への転勤の報せが年の瀬に入ったが、今の生活を変える気などない希美花は、単身赴任を信吾にさせた。
4歳になる春から和希は保育園に入園し、希美花は夜、クラブのような店で働きだした。
客にチヤホヤされて、楽しくしゃべって、希美花は和希を1人寝させたままよく、外泊までした。
そんな生活が続くなか、学校に上がる前の年、信吾が関西から戻り、翌年には今度はアメリカに転勤となる。
小学校に上がると、ますます希美花の遊びは派手になり家のことはほったらかしになった。
みかねた、佐藤の父が、実家の側に越してこいと進言し、希美花も、それで自分の負担が減ると考えてマンションを引っ越したのだ。
店は変わったが、生活は変わらずだった。
そのうちに1人の年下の実業家と知り合う。
信吾とは冷めていたが、女として視られたい希美花は自分に気があるその男性にのめり込んだ。