甘くて苦い彼。

ふてくされた表情をすると足を投げ出してソファーに大きく音を立てて座った。



「シンジの負けだよ」

とさっきから私の髪を弄っていた彼がひっそり小さく呟いた。



「お前はそういうとこは相変わらずだな」
と一つため息をこぼす。



「ふっ・・・。
だからシンジは心配なんでしょ?」



「まぁな」
苦虫をつぶしたような表情を片手で覆うとまたため息をついた。







「シンジ、俺はルカのことちゃんと大切にするから心配しないで。



ルカのことは誰にも傷つけさせないし、絶対守るから」





不敵でニヒルで、でもどこか違くて。

そんな笑みを浮かべながらお兄ちゃんをじっと見ている。



グレーの瞳にパーマの軽くかかった長めの金髪がその表情には不釣り合いだった。







そしてそれはまるで

私と彼が初めて出会ったとときのようだった。











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