鎖。*奈落の底へ落としてあげる。*
未来は驚いた顔で来と那柚の方を向く。
あまりの驚きに、涙も止まってしまった。

「おはよう、来くん。
今朝は助けてくれてありがとう。
おかげで助かりました。」

未来はにこりと笑うと、学園長室を出ようとして、立ち止まった。

「………どうしよぅ。」

「え、どうかしたんすか?
未来さん。」

那柚は未来に聞く。
すると、未来は泣きそうな顔で那柚に言う。

「私、今日休むって先生に言っちゃいましたぁ。
どうしよぅ………。」

未来は「はぁ」とため息を吐き、秀麗に向かって頭を下げる。

「今日1日だけここにいさせてください。
お願いします。」

秀麗は悩みつつ未来に言った。

「いくら未来さんの頼みでもなぁ。
そもそも男子校に女の子がいることが問題だしねぇ。」

そんな秀麗を見て、那柚も頭をさげる。

「俺からも頼みます。
未来さんを皆に会わせてやりたいんです。
未来さんは皆の憧れなんです!」

未来は皆に分からないように、微かに照れた。
けれど、秀麗は気付いていた。

来はイマイチ納得出来なかった。
今朝からは考えられない未来の様子や、秀麗の発言。
それに、お嬢様があんな言葉を言うのだろうか。
那柚は全く気にしてない様子だが、どうしても腑に落ちない部分があった。
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