鎖。*奈落の底へ落としてあげる。*
「皆が憧れているのなら、なおさらダメです。」

「……分かりました。
では、勝手にさせていただきます。」

止めようとする秀麗を無視してドアを開け出ようとしたとき、未来は振り返って

「誰がそんな話し方をしてって言った?」

と言うと、今度は悲しげな表情で

「どうして“秀ちゃん”じゃ駄目なの?」

と呟き、静かにドアを閉めた。

「……っ、っく。」

廊下に、声を我慢する未来の泣き声が響く。
秀麗はドアに近付いたが、未来の泣き声が微かに聞こえ、ドアを開けずそっと離れる。

「あの……。」

那柚は恐る恐る秀麗に話しかける。
秀麗は出窓に腰かけて、窓の外を眺めていた。

「何?」

振り向いた時には、かなりむすっとしていた。

「こんなこと聞くのもどうかと思うんすけど、未来さんとどういう関係なんすか?」

すると、秀麗は急に涙目になりながら那柚と来に言った。

「聞いてくれるかぁ?!」

二人に泣きつく姿は、先ほどの秀麗とは考えられなかった。
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