鎖。*奈落の底へ落としてあげる。*
「俺と那柚が初めてあったのは中学に上がった時。
那柚が俺のクラスに転入してきたのがきっかけで友達になったんだけど……「「けど?」」

背中から聞こえるはずのない声が聞こえ、全員一斉に後ろを振り返った。
そして、皆そこにいる人物に驚き声が出ずにいると、唯一恭夜が口を開いた。

「未来!
お前どうして保健室で寝てないんだ?!
休まないとしんどいのは未来、お前だぞ!!」

恭夜が心配して怒鳴ると、未来は俯き涙声で言った。

「………ってるもん。
休まないといけないことぐらい知ってる。
でも、恭にぃが心配だったから………っ。
最後の入学式なのに、………いつもみたいに出ないんじゃないかって。」

それを聞いて、恭夜は何も言うことが出来なかった。
言えなかった。

すると……

ものすごいスピードで何かが未来に向かって走ってきた。

「未来」

その声が聞こえた途端、未来は振り向き手を伸ばす。
声の主も手を伸ばし、未来をぎゅうっと抱き締める。

「李依菜様ぁ」

未来より少し背の高い李依菜の腕の中で未来は泣いてしまった。
李依菜は少し戸惑ったが、今は何も言わず頭をぽんぽんと撫でた。
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