鎖。*奈落の底へ落としてあげる。*
「未来?」

未来が落ち着いた頃、李依菜はそれはそれは恐ろしいほどの爽やかな笑みで、皆に言った。

「私の未来に何をしましたの?
私言いましたよね?
覚えてます?」

そんな李依菜に、未来は泣きながら言った。

「恭っ…にぃが、にゅっ……がくしき……っ。」

それを聞くと一瞬悲しそうな顔をしたが、すぐに元の表情に戻し、恭夜の方を向いて

「入学式くらい出席してあげたらいいじゃないですか!
恭夜さん……最後じゃないですか。
入学式を見る機会……。
一度も出席したことないじゃない。
可愛い妹のお願いですのよ。
それに………私だって……恭夜さんには出席してほしいですわ……。」

と言うと、恭夜と未来以外皆“え?”という顔をして李依菜を見ていた。
それに気付いた李依菜は、顔を赤くしながら、

「と、とにかくですわ!///
未来は私が学園に連れて帰ります。」

と言って未来を連れて歩きだす。
すると少し歩いたところで李依菜は振り返り

「ちゃんと……入学式に出席してくださいね///」

と、また顔を赤くして未来を連れて帰った。
その状況を未だに理解出来ていない来達は、呆然としていた。
恭夜達以外はもう移動していていなかったから、余計に恭夜の呟きが響き来達に聞こえた。

「かわいーヤツ。」

そう呟いた恭夜も、ほんの少し頬を赤く染めていた。
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