鎖。*奈落の底へ落としてあげる。*
すごく落ち着く声。
誰にも渡したくない。
たとえそれが、
俺の周囲にいる人でも。

それは恋にも似た感情。
李依菜にも感じる感情。

「たんこぶだけで良かった。
未来呼んで正解だな。」

そう言うと、未来は呆れた表情で

「本当だよぉ。
来くんと乃谷(ダイコク)さんにお礼言ってね?
運んでくれたの、その二人なんだからね。」

と、最後には少し笑いつつ話してくれた。
乃谷=男の方の養護教諭だ。
ちなみに女の方の養護教諭=羽須美。

「み「「来くんと乃谷さんは、飲み物買いに行ってる。
那柚くんと秀ちゃんは両隣のベッドで寝てるよ。」」

二人ともおっきいたんこぶできてるの。
と、未来は自分の頭を指差しながら続けて言った。

皆は?
と恭夜が聞こうとした瞬間に、未来はすぐに言った。
まるで、聞かれると分かっているかのように。

「体調は大丈夫か?」

恭夜が心配しながら聞くと

「呼び出して助けを呼んだのは恭にぃじゃない。
今は立場逆転してるね。」

って、少し笑いながら言った。
でも、未来はもう平気そうだった。
頬は元の可愛らしい薄い桃色に戻り、見るからに健康そのもので恭夜は安心した。
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