鎖。*奈落の底へ落としてあげる。*
「良いよね。」

未来はぽつりと呟く。

「何が?」

恭夜も未来に合わせ、呟くような声で言った。
すると未来の口から、普通の人なら誰でも驚くような言葉が返ってきた。

「学校に自動販売機があるの。
私、自動販売機で飲み物買ったことないから。
……羨ましぃ。」

「え゛。
未来ってそんなことまで禁止されてんの?!」

思わず上半身を起こし声を大きくした恭夜を、慌てて未来は止める。

「恭にぃ、しぃぃぃぃ!
二人とも起きちゃうよ」

未来は唇の前で人差し指をたて“しぃ”のポーズをし、小声で言うと、ベッド同士を仕切っているカーテンが二つとも勢いよく開いた。

『起きてるよ、もうすでに。』

恭夜はカーテンが開いても冷静だったが、未来はその音にびっくりしたのか恭夜にしっかりと抱きついていた。

「未来さぁ、いつまで抱きついてんの?」

秀麗はムスッと拗ねた顔をし、恭夜はそれを見てニヤッと意地悪そうに笑う。

「俺に嫉妬してんのぉ?
俺より年上なのに余裕ないのなぁ~。」

「うざい年下。
やっぱ恭夜生意気。」
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