鎖。*奈落の底へ落としてあげる。*
「そりゃ、どうも。
最高の誉め言葉をいただけて光栄です。」

そんな二人のやりとりを見て未来は静かにため息を吐くと、仕切りのカーテンから出ていった。
まだ来と乃谷は帰ってきてない。
未来はソファに座りぼんやりしていると、少しうとうとしてきた。

(未来さん……どこ行ったんだろ)

那柚は、恭夜と秀麗の言い争いに飽きてきたらしく未来を探そうとカーテンの仕切りから出ると、未来が寝ていた。

(寝てる……。
無防備すぎだよ。
此処が男子校って忘れてない?
俺ら以外の奴が来たら、絶対襲われるね。)

那柚はどうしようか考えた末、薄い毛布を未来にかけると隣に座った。
少し経つと、未来は目を覚ました。

「ん………。
あれ?
寝ちゃった……?」

「プッ、クスクス。
未来さん、寝起きの独り言多すぎ」

その言葉に少し赤くなる頬を膨らませ、軽い抵抗をした。
まぁ、那柚にとってはただ可愛らしく思ってしまうだけだったが。
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