鎖。*奈落の底へ落としてあげる。*
愛と恋は、いつの間にか自然と互いの手を繋いでいた。

「さすが未来と兄妹ね。
未来と同じくらい、人に鋭い。」

「あんな家で暮らせば、嫌でもこうなるさ。」

李依菜は恭夜の横を、愛と恋はその後ろを歩いて、保健室に着いた。
未来で手が塞がっている恭夜に、李依菜はさっ、とドアを開ける。

李依菜から電話がきたときに、

“未来が気を失ったから迎えに行く”

とだけ聞いて、保健室で待っていた杏華や来達は、あまりの未来の様子に驚きを隠せなかった。
一番に未来の傍に来たのは杏華だった。

「未来は?!
李依菜、未来は大丈夫なの?!」

未来は息をしているのかさえ分からないぐらいぐったりとしていて、まるで人形のようだった。
恭夜はベッドへ未来をおろし、カーテンを閉めて皆のとこへ戻る。

「……やっぱり、“今日”が原因?」

愛はぽつりと呟く。

「あぁ、……おそらくは。」

恭夜はカーテンのすぐ前に椅子を持ってきて、座っている。
だけど、膝の上に肘をたて頭を支えている状態で顔は見えないが、頭を支えている手は小刻みに震えていた。
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